難病「強直性脊椎炎」患者の私が行っている運動

私が患っている難病

私は指定難病「強直性脊椎炎」を2008年頃から患っています。
まだ分からないことも多く、激しい関節痛に襲われるこの病気ですが、流石に10年以上患っているので慣れました。

※強直性脊椎炎の詳しい情報→難病情報センター 指定難病271「強直性脊椎炎」

慣れるという言い方はちょっと違うかもしれませんが、根本的な治療が確立されていない病気なので共存していくしかありません。

→エッセイ漫画「久永家」3話強直性脊椎炎についてこの病気は治療によって関するというものではありません。長く付き合っていくものなんです。
→エッセイ漫画「久永家」3話 難病持ちの妊婦

私がこの病気になった経緯等はエッセイ漫画「久永家」の3話30話をご覧いただければわかりやすいと思います。

もちろん罹患した初期の段階が一番辛いと言われている病気なので、私も最初の頃は痛みと原因や病名が分からずしんどすぎて死が頭をよぎったりもしました。

→エッセイ漫画「久永家」30話 辛かった時のこと。強直性脊椎炎発症時、愛の違和感は痛みに変わり、半年も経つと激痛でまともに歩けなくなった。
→エッセイ漫画「久永家」30話 辛かった時のこと

超絶ラッキーなことに病名が早めに判明し、適切な投薬と適度な運動(初めの頃は激痛の中無理やり体を動かしてましたが)により、今では寛解と言っていい状態になりました。

本当にこの病気の患者にしては相当幸運な経緯を辿ってこれたと思います。

現在も投薬はしつつ、日常の様々なことを細かく気をつけながら過ごして、症状が悪化することのないように心がけています。

なぜ運動するのか

強直性脊椎炎は関節炎が辛いのに、なぜ運動するのか?というと、この難病は運動により症状が改善する傾向にあるからです。


この病気は症状が進行すると脊椎がこわばって固まり、やがて動かせなくなって強直という経緯を辿ってしまいますが、体を動かすことによって強ばるのを防ぐことができます。

→エッセイ漫画「久永家」3話 難病持ちの妊婦。強直性脊椎炎は脊椎や大きい関節が炎症を起こし痛みを引き起こす。進行すると椎骨がくっつき背骨が一本の丈のようになる。
→エッセイ漫画「久永家」3話 難病持ちの妊婦


痛みが強い時は動くのが辛いですが、なるべく時間を決めて毎日動くことによって痛みも軽減してきます。

投薬で痛みを和らげつつ、毎日運動をおこなって強張りを防ぐ&痛みを軽減していくのが主な治療法とされています。

同じ患者としては「痛みが強い発症初期の頃は無理しないで」と言ってあげたいですが、私の経験から言うと「多少の無理をしてでも運動の習慣をつけたことで今がある」と思っています。

医師からも「痛くても動いてください」と言われたことを覚えています。

→エッセイ漫画「久永家」30話 辛かった時のこと。強直性脊椎炎は安静にしていると悪化します。背骨の強直を防ぐために運動してください。痛くても動くことです。
→エッセイ漫画「久永家」30話 辛かった時のこと

どんな運動をすればいいのか

この病気は脊椎周辺の大きい関節に強ばりと痛みが生じる病気です。
なので脊椎=背骨を大きく動かす運動が効果的です。

強直性脊椎炎歴約10年以上の私が普段行なっている運動をサクッとご紹介します。
全ての患者さんに効果があるわけではありませんが、参考までに。

朝の運動

私の朝は運動から始まります。

起きたら30秒から1分ほど軽くラジオ体操第一をしてからトイレに行くようにしています。

ここで大事なのは朝イチでやること。
睡眠中にこわばってしまった体を動かして、体の可動域を広げます。イメージ的に。

早朝に尿意を催して大して準備運動せずトイレに行き、用を済ませて立ち上がろうとしたら関節に激痛が走り、便座に座ったまましばらく動けなかったことがあります。

運動は朝行うと良いと医師から言われていたので、実践するようになりました。

全身運動なので、私はラジオ体操を基本の運動としています。
背骨を大きくいろんな方向に動かすので、日によって変わる容体を把握することができます。

ラジオ体操やる→あ、今日は左足の付け根がちょっと痛い→今日は左足動かす時気をつけよう
こんな感じです。

おすすめの運動:Eテレ「テレビ体操」

私はEテレの「テレビ体操」と言う番組を見ながら毎朝運動しています。
→公式 テレビ体操(NHK)

テレビ体操というのは主に「ラジオ体操」や「みんなの体操」を主軸とした10分番組で、全身を動かしたり体を鍛える方法を紹介しています。
6:25から始まる番組なので時間的にちょうど良く、程よい運動負荷なので気持ちがいいです。
見逃し配信しているので、見たい時に見ながら運動することもできます。
→見逃し同時配信「テレビ体操」NHK

「ラジオ体操」は反動を使う動きもあるので負荷としては結構大きく、病気の症状が重いときついですが、テレビを見ながら音楽に合わせて行える点はかなり大事です。
自分一人で黙々と行う運動は自分で運動量を加減してしまうし、痛みの感じ方も強くなりがちなのであまり効率が良いと言えません。

「みんなの体操」というのは、「ラジオ体操」よりも運動量が抑えられていて、高齢者でも負担が軽く行えるよう作られたものです。
結構きついのもありますが…。
手をにぎにぎする単純な動きから始まるので、寝ぼけていても体に優しくて良いですw

「テレビ体操」を見ながらの運動は音楽に合わせてテレビに出てくる映像の真似をすれば良いだけなので、運動が苦手な人もやりやすいです。
関節の痛みを抱えていると運動強度はやや高いかもしれませんが、難しい動きはありません。
関節が痛くて痛くて運動なんて無理、という状態でも見てると多少なりともやる気になれます。

私は最初全然テレビのとおりに出来なくて、ほぼ立って見ているだけの状態でした。
前屈とか後屈とか、もう本当にキツくて、体をちょっと前後に揺らしてるだけでした。

この病気で治療に使われる薬はゆーっくりと効いていくものなので、薬の効果が出るまでは体が痛すぎて運動がなかなかできなかったです。

エッセイ漫画「久永家」でも描いてますが、徐々に運動が出来るようになり、ラジオ体操第2の片足ジャンプが出来るようになったのは運動始めて半年以上経ってからです。

→久永家30話 辛かった時のこと

テレビ体操では車いすの方でも行えるよう、座った状態での運動方法も同時に紹介されていますので、これはかなり助かります。
痛くて立ってるのも辛い時は、座って上半身だけでも動かせます。

そして毎日運動行っていると、同じことの繰り返しで飽きて来てしまうものですが、この番組はある程度の周期で(1ヵ月か3ヶ月に1回位かな?)内容が変わってくれるので、あまり飽きずに続けられると思います。

曜日ごとに毎日違う内容になっており、継続しやすいです。
黙々と無音でやっていると痛みを感じやすいのであまり体を動かせませんが、テレビ体操はちょっと痛くてもノリで大きめに体を動かすことが出来ます。 ※ノリノリの曲がかかってるわけではないですが。

うちの父は腰痛に悩まされていましたが、テレビ体操始めてから軽減するようになったと言ってました。 あとラジオ体操は肩凝りにも効果があるそうです。

強直性脊椎炎に限らずいろんな人におすすめです。

筋トレ

朝はテレビ体操の後に筋トレを行っています。
腹筋と背筋、腕立て伏せを10分か20分ほど行ってます。

朝に時間をとって運動するのはなかなか大変ですし、人によっては「朝からハードすぎんか…?」と思うかもしれませんが、この病気では朝に体を動かしておくというのはとても重要なことです。

むしろ夜運動する位なら朝運動した方が、確実に体の痛みが軽減します。
朝の運動は体が内側から温まって軽くハァハァする位がちょうどいいです。

私は朝に運動行うと体がほぐれやすくなり、毎日続けることでこわばりや痛みが少しずつ軽減されていきました。
継続することが大切です。

日中の運動

朝の運動をメインとして、昼間でも夜でもちょこちょこ動くようにしています。
むしろこまめに運いていないと関節が痛くなったりします。

椅子に座っているままだとこわばって関節が痛くなってしまうことがあります。
なので、1時間おき、できれば30分おきに屈伸運動や、首を回したりといった背骨を動かす運動を行っています。

長時間ドライブでは車から降りたらゴリゴリ体を動かします。
人目とか気にしません。そもそも他人は他人にそこまで関心がありません。

私は長時間まとまった時間がある時に漫画を描いているのですが、30分タイマーをセットして、タイマーが鳴ったら椅子から降りて前屈や後屈、首を回す体を捻って動かすなどの運動をするようにしています。

体がこわばってコキコキするので、ほぐす感じです。

夜の運動

夜はスクワットなどの筋トレをしています。
また筋トレ。

体の筋肉の半分以上が下半身にあるみたいなので、単純に鍛えるだけでもスクワットはおすすめです。
ビリー隊長もスクワットが基本だと言ってたしね。

体操は前屈や後屈といったラジオ体操と同じ運動です。

あとは日によって気になった運動を取り入れています。
女性はお尻を鍛えると美しくなると聞き、今はお尻を鍛える運動をしたりもしてます。

関節が痛む時は1日中こまめに体を動かすようにしています。
その日は効果が薄くても、翌日の体調が違います。

関節をほぐすだけでなく、運動で体の芯から温まると関節が痛くなりにくいみたいです。

運動=貯金

私は運動は貯金という感覚でやってます。
動ける時に動いて、貯金しておく事で、別の原因で不調な時に運動しなくても、関節が痛くなりにくい感じがします。

「最近調子いいし、忙しくて時間ないから〜」とサボっていると、時間差で痛みが再びやってきます。

もちろん別の原因で体の具合が悪い時は運動したくても出来ない時もあります。
頭痛や吐き気がすごいとか高熱出てるとか生理痛だとか。
そういう時は私も無理に運動せず休みます。

最初はなんとなくでもいいので痛みに耐えて動いてみることをお勧めします。
とはいえあまりの激痛に耐えて動けなくなってしまうのは本末転倒なので、ほどほどに。

「昨日体動かしてみたらやっぱり超痛かったから、やめとこかな…」と思うこともあるので、毎日のサイクルを決めて習慣化してしまった方がむしろ楽です。

時間はかかりましたが、そういった日々を乗り越えていったからこそ、私は今十分に自分の体を動かすことができています。自分で自分の体を動かすことができるのは、当たり前ではない。
私は病気になってから痛感しました。

長時間の有酸素運動

ランニングやジョギングウォーキングなどは体に良いとされる有酸素運動ですが、背骨を動かす運動ではないため注意しています。

出先で長時間歩く時は、時々止まって前屈や後屈をして背骨を動かすようにします。

例えば長時間歩いて帰宅した場合、「歩いたから運動したわー!汗かいたわー!やれやれ」と椅子に座って休んでいると、立ち上がるとき痛みが出て立てない事があります。

多分ですが、歩くのは運動になりますが背骨を大きく動かすものではないため、こわばって関節が痛んだのだと思います。

AS体操

強直性脊椎炎の患者のリハビリのため作られたAS体操と言うものがありますが、私はこの体操を意識的に行った事はありません。
※強直性脊椎炎は英語で ankylosing spondylitis でASと略されています。
リンク貼っても切れそうな気がするので、どんな体操かは調べてみてください。

なんというか、見ても全然やる気が出なかったんですよね。 作った人には本当に申し訳ない。
ざっと見て、こういう動きをすれば有効なんだなと参考にはなります。

ただでさえ病気が発症して体が思うように動かせず、鬱々としながら痛みに耐えで行う運動なので、少しでも楽しく行える方が良いと思います。
いや私がやる気出なかっただけなので、AS体操を否定してる訳ではないです。

運動を続けた結果

強直性脊椎炎の診断が出てから2ヶ月運動を続けた結果、なんと2ヶ月で発症前と同じコンディションに戻ることができました!

病気が早期発見だったので早期に治療を受けられたのも大きいと思います。

→エッセイ漫画「久永家」3話 難病持ちの妊婦。強直性脊椎炎だった過去。発症当時私は歩くこともままならなかったが、2ヶ月後にはすっかり元の生活が送れるようになった。
→エッセイ漫画「久永家」3話 難病持ちの妊婦

元の日常が送れるようになったとはいえ、この頃はまだラジオ体操の片足ジャンプすると痛くてできない状態…。
日常生活は送れても、痛みがほぼなくなるまでには結構時間かかりました。

片足ジャンプが痛みなくできるようになるまでに半年はかかりました。
まあ、日常で片足ジャンプする時ってあんまりないので大丈夫ですが。

強直性脊椎炎に運動が有効といっても出来るものも限られ、どのようなものを行ったらいいのかわからず、診断が降りた当初の私は途方に暮れていました。

今では普通に生活できるようになりましたが、私と同じ病気で、あの頃の私と同じ悩みを抱えている人がいるかもしれないなとふと思って書いてみました。

同じ境遇の方のお役に立てば幸いです。


強直性脊椎炎の私ですが、特に問題なく妊娠出産することができました。
その過程を綴った漫画が「久永家」です。
よかったらこちらもご覧ください。

漫画久永家シリーズもくじ

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